耐熱鋼
耐熱鋼/JIS G 4311:2026(棒・線材)/JIS G 4312:2019(板・帯)/18鋼種を収録
耐熱鋼は、製品形状によって適用するJISが分かれます。棒・線材は JIS G 4311:2026、板・帯は JIS G 4312:2019です。両規格の種類の記号は共通で、本ページでは18鋼種の一覧と共通事項をまとめ、規格値は板・帯(JIS G 4312:2019)を掲載しています。棒・線材でご入用の場合は、JIS G 4311:2026 の規格値をご確認のうえお問い合わせください。
高温での強度・耐酸化性を重視した鋼。エンジンバルブ・炉内部品・排気系に使われる。オーステナイト系・フェライト系・マルテンサイト系がある。
加工・取扱いのポイント
この項目はJIS規格値ではありません。一般的な傾向、およびメーカー資料・当社の加工/調達経験にもとづく実務情報です。入手性・加工条件は時期・メーカー・数量によって異なります。
SUH35はエンジン排気バルブに広く使われています。SUH660は析出硬化型で、ガスタービンなどの高強度部品に使われます(海外規格のA286に相当するとされますが、両者の対応関係はJIS原典に記載がないため、ここでは参考情報として扱っています)。
耐熱鋼の鋼種一覧
| 鋼種 | 規格・成分の目安 参考 | 特徴 参考 |
|---|---|---|
| SUH1 | Si-Cr系マルテンサイト | 吸気バルブ用 |
| SUH11 | Si-Cr系・汎用バルブ鋼 | 小型エンジン吸気バルブ |
| SUH21 | フェライト系・Al添加 | 電熱器部品・耐酸化 |
| SUH3 | Cr-Mo-Si系 | 高温ボルト・バルブ |
| SUH309 | 22Cr-12Ni耐熱 | 炉内部品・耐酸化 |
| SUH31 | Cr-Ni-W系オーステナイト | 排気バルブ用 |
| SUH310 | 25Cr-20Ni耐熱 | 高温の炉材用途 |
| SUH330 | 高Ni・耐浸炭 | 浸炭炉の治具に広く使用 |
| SUH35 | 21-4N系・排気バルブの定番 | Mn-N強化オーステナイト |
| SUH36 | 高N型SUH35系 | |
| SUH37 | Cr-Ni-N系 | |
| SUH38 | Cr-Ni-Mo-B系 | 高温高強度型 |
| SUH4 | Si-Cr系高炭素 | |
| SUH409 | 11Cr-Ti・フェライト系 | 自動車排気系に広く使用 |
| SUH409L | 低炭素409 | エキマニ・マフラー用 |
| SUH446 | 27Cr・耐高温酸化 | バーナー部品等 |
| SUH660 | A286相当・析出硬化型 | ガスタービンディスク・高温ボルト |
| SUH661 | Co-Ni多元系 | ジェットエンジン部品域 |
この規格に共通する事項
この分類の各鋼種ページに共通する規定の解説です。
記号の読み方
棒であることを記号で表す必要がある場合は、種類の記号の末尾に "-B"(熱間仕上棒鋼)又は "-CB"(冷間仕上棒鋼)を付記します。
線材であることを表す場合は "-WR" を付記します。
| 例 | SUH309-B(熱間仕上棒鋼)/SUH309-CB(冷間仕上棒鋼)/SUH11-WR(線材) |
|---|
出典:JIS G 4311:2026 表1 注a)・注b)
製造方法
- 棒は、熱間圧延、熱間鍛造などの熱間加工後に熱処理を行う。ただし、受渡当事者間の協定によって、熱処理を省略して熱間加工ままとしてもよい。
- 熱処理を行う場合、熱処理の種類は受渡当事者間で協定し、熱処理条件は箇条6に規定する品質に適合するように選択しなければならない。
- 冷間仕上棒鋼は、冷間引抜き、研削、切削、又はこれらの組合せによって製造する。なお、注文者の指定のない限り冷間仕上後に熱処理は行わない。
- 線材は、熱間圧延ままとする。ただし、必要に応じて熱処理などを行ってもよい。
出典:JIS G 4311:2026 箇条4
対応国際規格:ISO 4955:2016(Heat-resistant steels)及び ISO 683-15:1992(Heat-treatable steels, alloy steels and free-cutting steels — Part 15: Valve steels for internal combustion engines)/全体評価 MOD(修正している)。
出典:JIS G 4311:2026 序文
記号の読み方
板であることを記号で表す必要がある場合は、種類の記号の末尾に "-HP"(熱間圧延板)又は "-CP"(冷間圧延板)を付記します。
帯であることを表す場合は "-HS"(熱間圧延帯)又は "-CS"(冷間圧延帯)を付記します。
| 例 | SUH309-HP(熱間圧延板)/SUH409-CS(冷間圧延帯) |
|---|
出典:JIS G 4312:2019 表1 注a)・注b)
この規格では、製造業者の出荷後の製品に熱処理を行った場合の機械的性質は規定していません。
出典:JIS G 4312:2019 6.1 注記
