SUS430F|フェライト系ステンレス鋼
ステンレス鋼/JIS G 4303:2021・G 4304:2021・G 4305:2021
原典確認済み 規格値は、日本産業標準調査会(JISC)の規格票閲覧サービスで原典を確認して記載しています(確認日:2026年8月5日/JIS G 4304:2021の収載確認=2026年8月14日)。
SUS430F の収載状況
| 棒(JIS G 4303:2021) | ○ 収載あり |
|---|---|
| 熱延板・帯(JIS G 4304:2021) | - 収載なし |
| 冷延板・帯(JIS G 4305:2021) | - 収載なし |
出典:JIS G 4303:2021 表1/JIS G 4304:2021 表1/JIS G 4305:2021 表1
化学成分(規格値)
| C | Si | Mn | P | S | Ni | Cr | Mo | Cu | N |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0.12以下 | 1.00以下 | 1.25以下 | 0.060以下 | 0.15以上 | — | 16.00〜18.00 | — | — | — |
注c) SUS430F の Mo は、0.60%を超えてはならない。
表5 注a) SUS447J1 及び SUSXM27 の2種類以外の Ni は、0.60%を超えてはならない。
出典:JIS G 4303:2021 表5(ステンレス鋼棒)/確認日 2026年8月5日。溶鋼分析値、単位は%。「—」は規定がないことを示します。
機械的性質|棒(JIS G 4303)
焼なましを行った棒の機械的性質です(6.4)。供試材は JIS G 0404 の 7.6 の A類による。ただし、耐力は、注文者の指定がある場合に適用する。
| 耐力 N/mm² | 引張強さ N/mm² | 伸び % | 絞り % | HBW | HRBW/HRBS | HV |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 205以上 | 450以上 | 22以上 | 50以上 | 183以下 | 90以下 | 200以下 |
適用寸法(径、対辺距離又は厚さ):75 mm以下
注a) 絞りは、平鋼には適用しない。ただし、注文者の指定がある場合、絞りの規定値は、受渡当事者間の協定による。
注b) 硬さは、いずれかの硬さによる。いずれの硬さを適用するかは、特に指定のない場合、製造業者の選択による。
注c) HRBW 又は HRBS の測定は、いずれによってもよい。ただし、疑義が生じた場合の判断は、HRBW による。測定値の報告には、採用した測定方法(HRBW 又は HRBS)を明記する。
出典:JIS G 4303:2021 表10/確認日 2026年8月5日。1 N/mm²=1 MPa。
棒には「絞り」の規定があります。板・帯の規格(G4304・G4305)にはない項目で、断面がどれだけ縮むかを示す延性の指標です。ただし注a) に「絞りは、平鋼には適用しない。ただし、注文者の指定がある場合、絞りの規定値は、受渡当事者間の協定による」とあります。丸鋼・角鋼・六角鋼には適用され、平鋼には適用されません。
適用寸法にも上限があります。オーステナイト系は径180 mm以下、それ以外の分類は75 mm以下。これを超える場合は「機械的性質の規定の要否、その規定値及び供試材の種類は、受渡当事者間の協定による」(6.1 a))となります。太物では規格値が自動的には効きません。
出典:JIS G 4303:2021 6.1 a)・表8〜表13 注a)/確認日 2026年8月5日
SUS430F は棒の規格にしかありません
この鋼種は JIS G 4303:2021(ステンレス鋼棒)の表1には収載されていますが、冷延板・帯の JIS G 4305:2021 表1 には収載されていません。したがって「この鋼種の冷延板」というものはJIS上存在しません。
板で近い性質のものが必要な場合は、板の規格に収載されている別の鋼種を選ぶことになります。用途をお知らせいただければ、当社で候補をお調べします。
出典:JIS G 4303:2021 表1/JIS G 4305:2021 表1/確認日 2026年8月5日
この鋼種は快削ステンレスです。記号末尾の F は快削(Free-cutting)、Se はセレン添加を表します。硫黄やセレンを添加して被削性を上げた鋼種で、切削加工する棒材として使われるため、板・帯の規格には収載されていません。
被削性と引き換えに、耐食性と溶接性は同系統の標準鋼種より劣ります。溶接を伴う用途には向きません。
出典:JIS G 4303:2021 表1/確認日 2026年8月4日
棒鋼の機械的性質(規格値)
| 耐力 N/mm² | 引張強さ N/mm² | 伸び % | 絞り 注a) % | 硬さ HBW | 硬さ HRBW又はHRBS | 硬さ HV |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 205以上 | 450以上 | 22以上 | 50以上 | 183以下 | 90以下 | 200以下 |
出典:JIS G 4303:2021 フェライト系の焼なまし状態(表10)/確認日 2026年8月5日。
SUS430F は板ではなく棒鋼の規格で規定されている鋼種です。JIS G 4304(熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)の機械的性質の表には規定がありません。
棒であることを記号で表す必要がある場合は、種類の記号の末尾に -B を付記します(例:SUS304-B)。
なお G 4303 は「熱間加工したステンレス鋼棒」の規格で、冷間引抜の磨き棒はこの規格の対象外です。
出典:JIS G 4303:2021 箇条4・表1注/確認日 2026年8月5日。
この規格に共通する事項(この鋼種はどの規格で買えるか・熱処理の状態を表す記号(表2)・冷延板・帯を注文するときの注意点)は、SUS_F の分類ページにまとめています。
SUS430F の磁性(参考)
磁性は JIS の規格値ではありません。本ページに掲載した規格値(化学成分・機械的性質)とは異なり、以下は金属組織に由来する一般的な性質の説明です。
SUS430F は、JIS でフェライト系ステンレス鋼に区分されています。フェライト系は体心立方(bcc)の組織をもち、磁石に付きます(強磁性)。
熱処理や加工の状態にかかわらず磁性を示します。
種類の区分は JIS 原典(表1)で確認した事実です。磁性についての記述は JIS の規格値ではなく、参考情報です。
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当社の対応
当社が自社設備で加工しているのは SS400(一般構造用圧延鋼材)の厚板ガス切断・溶断です。SUS430F については、協力会社への手配を含めてお見積りを承ります。形状(棒・熱延板・冷延板)と寸法・数量をお知らせください。形状によって適用規格が変わります。
最終更新日:2026年8月17日
