析出硬化系ステンレス鋼
ステンレス鋼/JIS G 4303・G 4304・G 4305(2021)/3鋼種を収録
原典確認済み 規格番号・鋼種一覧は、日本産業標準調査会(JISC)の規格票閲覧サービスで原典を確認しています(確認日:2026年8月5日)。個別の鋼種ページには、当該JISで規定されている化学成分、機械的性質、適用条件などを、原典確認済みの範囲で掲載しています。
この区分に属する3鋼種の規格値と、共通する事項をまとめています。
固溶化熱処理のあと時効処理(析出硬化処理)で強度を出すステンレス。同じ鋼種でも熱処理記号(H900・H1150など)で規格値がまったく変わる。
押さえておきたい点
ステンレスは製品形状ごとに規格が分かれます。棒=JIS G 4303、熱間圧延の板・帯=JIS G 4304、冷間圧延の板・帯=JIS G 4305。「JIS G 4303〜4305」とまとめて書くのは正しくありません。ミルシートに載るのは、実際に納入される形状の規格1つだけです。下表の「収載」は、その鋼種が冷延板(G4305 表1)に載っているかどうかを示します。
析出硬化系ステンレス鋼 の磁性(参考)
磁性は JIS の規格値ではありません。本ページに掲載した規格値(化学成分・機械的性質)とは異なり、以下は金属組織に由来する一般的な性質の説明です。
析出硬化系ステンレス鋼 は、JIS で析出硬化系ステンレス鋼に区分されています。析出硬化系は、熱処理によってマルテンサイト組織を生じさせて硬化させる鋼種です。
時効処理をした状態では磁石に付きます(強磁性)。
種類の区分は JIS 原典(表1)で確認した事実です。磁性についての記述は JIS の規格値ではなく、参考情報です。
析出硬化系ステンレス鋼 の鋼種一覧
出典:JIS G 4305:2021 表3〜表6/JIS G 4303:2021 表1/確認日 2026年8月5日
この規格に共通する事項
この分類の各鋼種ページに共通する規定の解説です。
この鋼種はどの規格で買えるか
ステンレスは製品形状ごとに規格が分かれます。同じ SUS304 でも、丸棒で買うか熱延板で買うか冷延板で買うかで、適用されるJISが変わります。
| JIS G 4303:2021 | ステンレス鋼棒(丸鋼・角鋼・六角鋼・平鋼) |
|---|---|
| JIS G 4304:2021 | 熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯 |
| JIS G 4305:2021 | 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯 |
「JIS G 4303〜4305」とまとめて書くのは正しくありません。3規格は収載する鋼種の数も違います(棒65種/冷延板65種/熱延板は別構成)。ミルシートに載るのは、実際に納入される形状の規格1つだけです。
なお G 4303 は「熱間加工したステンレス鋼棒」と限定されており、冷間引抜の磨き棒はこの規格の対象外です。
出典:JIS G 4303:2021 箇条1/JIS G 4304:2021 箇条1/JIS G 4305:2021 箇条1/確認日 2026年8月5日
析出硬化系は熱処理記号で性質が変わります
析出硬化系ステンレスは、同じ鋼種でも熱処理の種類によって規格値がまったく違います。JIS G 4305:2021 表2に熱処理の記号が規定されています。
| SUS630 | 固溶化熱処理/H900/H1025/H1075/H1150 |
|---|---|
| SUS631 | 固溶化熱処理/RH950/TH1050 |
H900 が最も高強度(耐力1175以上・引張強さ1310以上)で、H1150 が最も低い(725以上・930以上)。数字は析出硬化処理の温度(°F)に由来します。発注時は鋼種記号だけでなく、必ず熱処理記号まで指定してください。
SUS631 の固溶化熱処理状態だけは「以下」で規定されます。耐力380以下・引張強さ1030以下。これは後工程で加工するための軟らかい状態を規定しているためで、他の状態の「以上」規定とは向きが逆です。
出典:JIS G 4305:2021 表2・表14・表15/確認日 2026年8月5日
