溶接構造用圧延鋼材
溶接構造用鋼/JIS G 3106:2024/11鋼種を収録
溶接性を保証した構造用鋼。炭素当量の管理と衝撃試験の規定があり、橋梁・造船・重量鉄骨など溶接組立の構造物に使われる。記号末尾A→B→Cの順にシャルピー衝撃保証が厳しくなる。
加工・取扱いのポイント
この項目はJIS規格値ではありません。一般的な傾向、およびメーカー資料・当社の加工/調達経験にもとづく実務情報です。入手性・加工条件は時期・メーカー・数量によって異なります。
寒冷地・重要構造物はB種以上を指定されることが多い。YA/YBは降伏点を高めたグレード。
溶接構造用圧延鋼材の鋼種一覧
| 鋼種 | 規格・成分の目安 参考 | 特徴 参考 |
|---|---|---|
| SM400A | 引張400〜510 N/mm² | 衝撃保証なしの基本グレード |
| SM400B | 引張400〜510・シャルピー27J(0℃) | 溶接構造の標準格 |
| SM400C | 引張400〜510・シャルピー47J(0℃) | 低温靭性が最も厳しい |
| SM490A | 引張490〜610 N/mm² | 490N級の基本グレード |
| SM490B | 引張490〜610・シャルピー27J(0℃) | 鉄骨・橋梁の主力 |
| SM490C | 引張490〜610・シャルピー47J(0℃) | 重要溶接部材用 |
| SM490YA | 降伏点365 N/mm²以上 | 降伏点強化型 |
| SM490YB | 降伏点365以上・衝撃保証付き | 橋梁の主桁で多用 |
| SM520B | 引張520〜640 N/mm² | 490と570の中間グレード |
| SM520C | 引張520〜640・衝撃47J | 同・高靭性グレード |
| SM570 | 引張570〜720 N/mm² | 溶接構造用ハイテン。入熱・パス間温度管理必須 |
この規格に共通する事項
この分類の各鋼種ページに共通する規定の解説です。
A種・B種・C種はシャルピー吸収エネルギーの違い
SM材の末尾の A・B・C は、シャルピー衝撃試験の規定の有無と厳しさを表します。化学成分にも差がありますが、実務で効くのはこちらです。
| A種 | シャルピーの規定なし(SM400A・SM490A・SM490YA) |
|---|---|
| B種 | 試験温度 0 ℃/27 J以上(SM400B・SM490B・SM490YB・SM520B) |
| C種 | 試験温度 0 ℃/47 J以上(SM400C・SM490C・SM520C) |
| SM570 | 試験温度 −5 ℃/47 J以上 |
いずれもVノッチ・圧延方向の試験片によります。SM570 だけ試験温度が −5 ℃と、C種よりさらに低温側で規定されています。
A種は衝撃値を保証しません。低温環境や板厚の大きい溶接構造には、B種以上を指定するのが一般的です。
出典:JIS G 3106:2024 表8/確認日 2026年8月3日
適用厚さが鋼種で違います
| 200 mm以下 | SM400A・SM400B・SM490A・SM490B |
|---|---|
| 100 mm以下 | SM400C・SM490C・SM490YA・SM490YB・SM520B・SM520C・SM570 |
C種とY系・520系・570は厚さ100 mm以下に限定されています。厚板でB種相当の靱性が必要な場合は、適用厚さの上限に注意が必要です。
出典:JIS G 3106:2024 表2・表7/確認日 2026年8月3日
SS材との違い
SS材(JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材)がP・Sの2元素しか規定しないのに対し、SM材は C・Si・Mn まで規定し、490級以上では PCM、B種以上ではシャルピー吸収エネルギーまで規定します。
「溶接構造用」と名のつくとおり、溶接することを前提に成分と靱性を押さえた規格です。溶接を伴う構造物では、SS400ではなくSM400B以上を指定するのが基本になります。
出典:JIS G 3101:2024 表2/JIS G 3106:2024 表2・表6・表8/確認日 2026年8月3日
年版について
JIS G 3106 の最新改正は 2024年2月20日です。制定は1952年11月15日、全26ページ。
出典:JISC規格詳細画面/確認日 2026年7月30日
溶接割れ感受性組成(PCM)
490 N/mm²級以上のSM材には、溶接割れ感受性組成 PCM の上限が規定されています。熱加工制御(TMCP)を行った鋼板に適用される値です。
PCM は低温割れ(遅れ割れ)の起こりやすさを示す指標で、炭素当量より低炭素・高強度鋼の実態に合うとされています。値が小さいほど予熱を省略しやすくなります。
出典:JIS G 3106:2024 表6/確認日 2026年8月3日
