SUS420F2|マルテンサイト系ステンレス鋼
ステンレス鋼/JIS G 4303:2021・G 4304:2021・G 4305:2021
一部確認済み 規格値は、日本産業標準調査会(JISC)の規格票閲覧サービスで原典を確認して記載しています(確認日:2026年8月5日)。
SUS420F2 の収載状況
| 棒(JIS G 4303:2021) | ○ 収載あり |
|---|---|
| 熱延板・帯(JIS G 4304:2021) | - 未確認 |
| 冷延板・帯(JIS G 4305:2021) | - 収載なし |
出典:JIS G 4303:2021 表1/JIS G 4304:2021 表1/JIS G 4305:2021 表1
化学成分(規格値)
| C | Si | Mn | P | S | Ni | Cr | Mo | Cu | N |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0.26〜0.40 | 1.00以下 | 1.00以下 | 0.040以下 | 0.030以下 | — | 12.00〜14.00 | — | — | — |
その他:Pb:0.05〜0.30
注a) SUS431 以外の Ni は、0.60%を超えてはならない。
出典:JIS G 4303:2021 表6(ステンレス鋼棒)/確認日 2026年8月5日。溶鋼分析値、単位は%。「—」は規定がないことを示します。
機械的性質|棒(JIS G 4303)
マルテンサイト系は熱処理の状態によって規定される表が変わります(6.5)。焼入焼戻し材は表11、焼なまし材は硬さだけを表12で規定します。
焼入焼戻し状態(表11)
| 耐力 N/mm² | 引張強さ N/mm² | 伸び % | 絞り % | シャルピー衝撃値 J/cm² | HBW | HRBW/HRBS | HRC | HV |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 540以上 | 740以上 | 5以上 | 35以上 | 29以上 | 217以上 | 95以上 | — | 220以上 |
適用寸法(径、対辺距離又は厚さ):75 mm以下
注a) 絞りは、平鋼には適用しない。ただし、注文者の指定がある場合、絞りの規定値は、受渡当事者間の協定による。
注b) 硬さは、いずれかの硬さによる。いずれの硬さを適用するかは、特に指定のない場合、製造業者の選択による。
注b) シャルピー衝撃値は、シャルピー吸収エネルギーをノッチ部の原断面積で除した値とし、JIS Z 2242 のノッチ深さ2 mmのUノッチ標準試験片が採取できる寸法の棒に適用する。この試験片が採取できない場合、適用する試験片及び規定値については、受渡当事者間の協定による。
出典:JIS G 4303:2021 表11/確認日 2026年8月5日。1 N/mm²=1 MPa。
焼なまし状態の硬さ(表12)
| HBW | HRBW/HRBS | HRC | HV |
|---|---|---|---|
| 235以下 | 99以下 | — | 247以下 |
注b) 硬さは、いずれかの硬さによる。いずれの硬さを適用するかは、特に指定のない場合、製造業者の選択による。
注c) HRBW 又は HRBS の測定は、いずれによってもよい。ただし、疑義が生じた場合の判断は、HRBW による。測定値の報告には、採用した測定方法(HRBW 又は HRBS)を明記する。
出典:JIS G 4303:2021 表12/確認日 2026年8月5日。1 N/mm²=1 MPa。
6.5 b) 焼なましを行った棒の硬さは、表12による。ただし、約750 ℃で焼なましを行った場合の棒の硬さは、受渡当事者間で協定してもよい。なお、焼なましを行った棒は、通常、焼入焼戻し状態の機械試験を行わないが、特に注文者の要求があれば、JIS G 0404 の 7.6 の B類による供試材に焼入焼戻しを行った場合の機械的性質及びその規定値を、受渡当事者間で協定してもよい。
出典:JIS G 4303:2021 6.5 b)
棒には「絞り」の規定があります。板・帯の規格(G4304・G4305)にはない項目で、断面がどれだけ縮むかを示す延性の指標です。ただし注a) に「絞りは、平鋼には適用しない。ただし、注文者の指定がある場合、絞りの規定値は、受渡当事者間の協定による」とあります。丸鋼・角鋼・六角鋼には適用され、平鋼には適用されません。
適用寸法にも上限があります。オーステナイト系は径180 mm以下、それ以外の分類は75 mm以下。これを超える場合は「機械的性質の規定の要否、その規定値及び供試材の種類は、受渡当事者間の協定による」(6.1 a))となります。太物では規格値が自動的には効きません。
出典:JIS G 4303:2021 6.1 a)・表8〜表13 注a)/確認日 2026年8月5日
SUS420F2 は棒の規格にしかありません
この鋼種は JIS G 4303:2021(ステンレス鋼棒)の表1には収載されていますが、冷延板・帯の JIS G 4305:2021 表1 には収載されていません。したがって「この鋼種の冷延板」というものはJIS上存在しません。
板で近い性質のものが必要な場合は、板の規格に収載されている別の鋼種を選ぶことになります。用途をお知らせいただければ、当社で候補をお調べします。
出典:JIS G 4303:2021 表1/JIS G 4305:2021 表1/確認日 2026年8月5日
この鋼種は快削ステンレスです。記号末尾の F は快削(Free-cutting)、Se はセレン添加を表します。硫黄やセレンを添加して被削性を上げた鋼種で、切削加工する棒材として使われるため、板・帯の規格には収載されていません。
被削性と引き換えに、耐食性と溶接性は同系統の標準鋼種より劣ります。溶接を伴う用途には向きません。
出典:JIS G 4303:2021 表1/確認日 2026年8月4日
棒鋼の機械的性質(規格値・焼入焼戻し状態)
| 耐力 N/mm² | 引張強さ N/mm² | 伸び % | 絞り 注a) % | シャルピー衝撃値 注b) J/cm² | 硬さ HBW | 硬さ HRBW又はHRBS | 硬さ HRC | 硬さ HV |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 540以上 | 740以上 | 5以上 | 35以上 | 29以上 | 217以上 | 95以上 | - | 220以上 |
出典:JIS G 4303:2021 表11(マルテンサイト系の焼入焼戻し状態の機械的性質)/確認日 2026年8月5日。
棒鋼の焼なまし状態の硬さ(規格値)
| 硬さ HBW | 硬さ HRBW又はHRBS | 硬さ HRC | 硬さ HV |
|---|---|---|---|
| 235以下 | 99以下 | - | 247以下 |
出典:JIS G 4303:2021 表12(マルテンサイト系の焼なまし状態の硬さ)/確認日 2026年8月5日。
注a)「絞りは、平鋼には適用しない。ただし、注文者の指定がある場合、絞りの規定値は、受渡当事者間の協定による」。
注b)「シャルピー衝撃値は、シャルピー吸収エネルギーをノッチ部の原断面積で除した値とし、JIS Z 2242 のノッチ深さ2 mmのUノッチ標準試験片が採取できる寸法の棒に適用する」。単位が J/cm² なのはこのためです。
硬さは HBW・HRBW(HRBS)・HRC・HV のいずれか1つで判定し、どれを適用するかは特に指定のない場合は製造業者の選択によります。
適用寸法は径・対辺距離又は厚さ 75 mm以下です。
SUS420F2 は板ではなく棒鋼の規格で規定されている鋼種です。JIS G 4304(熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)の機械的性質の表には規定がありません。
棒であることを記号で表す必要がある場合は、種類の記号の末尾に -B を付記します。
出典:JIS G 4303:2021 箇条4・表1注/確認日 2026年8月5日。
この規格に共通する事項(この鋼種はどの規格で買えるか・熱処理の状態を表す記号(表2)・冷延板・帯を注文するときの注意点)は、SUS_M の分類ページにまとめています。
SUS420F2 の磁性(参考)
磁性は JIS の規格値ではありません。本ページに掲載した規格値(化学成分・機械的性質)とは異なり、以下は金属組織に由来する一般的な性質の説明です。
SUS420F2 は、JIS でマルテンサイト系ステンレス鋼に区分されています。マルテンサイト系は体心正方の組織をもち、磁石に付きます(強磁性)。
焼入れ・焼戻しの状態にかかわらず磁性を示します。
種類の区分は JIS 原典(表1)で確認した事実です。磁性についての記述は JIS の規格値ではなく、参考情報です。
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当社の対応
当社が自社設備で加工しているのは SS400(一般構造用圧延鋼材)の厚板ガス切断・溶断です。SUS420F2 については、協力会社への手配を含めてお見積りを承ります。形状(棒・熱延板・冷延板)と寸法・数量をお知らせください。形状によって適用規格が変わります。
