電磁軟鉄
純鉄系軟磁性材料/JIS C 2504:2000/SUY系4鋼種+A系6区分の計10種類を収録
原典確認済み 規格番号・規格値は、日本産業標準調査会(JISC)の規格票閲覧サービスで原典を確認して記載しています(確認日:2026年8月4日)。
この区分に属する10種類(SUY系4鋼種・A系6区分)の規格値と、共通する事項をまとめています。
電磁軟鉄とは
電磁軟鉄は、炭素と不純物を極力減らした純鉄系の軟磁性材料です。JIS C 2504:2000(電磁軟鉄 / Soft magnetic irons)に規定されており、リレー、電磁石、磁気クラッチ、ブレーキ、発電機、モータなどの鉄心・継鉄・接極子、その他磁気シールドに用いられます。規格は棒・ロッド・線・板・条を対象としています。
出典:JIS C 2504:2000 箇条1
種類の区分は「保磁力」で決まる
JIS C 2504:2000 箇条4には次のように規定されています。
種類及び記号は、直流磁気特性の保磁力の最大値によって区分し表1による。
引張強さや化学成分ではなく、磁気的な性質そのもので種類が分かれます。A系については、記号の数字がそのまま保磁力の上限値(A/m)を表します。
出典:JIS C 2504:2000 箇条4
SUY系 4種の一覧
| 鋼種 | 保磁力 A/m(上限) | 磁束密度 T(H=100) | 同(H=4000) |
|---|---|---|---|
| SUY-0 | 60以下 | 0.90以上 | 1.60以上 |
| SUY-1 | 80以下 | 0.60以上 | 1.60以上 |
| SUY-2 | 120以下 | — | 1.60以上 |
| SUY-3 | 240以下 | — | 1.60以上 |
出典:JIS C 2504:2000 表3/確認日 2026年8月4日。
A系 6種の一覧
| 鋼種 | 保磁力 A/m(上限) |
|---|---|
| A-12 | 12以下 |
| A-20 | 20以下 |
| A-60 | 60以下 |
| A-80 | 80以下 |
| A-120 | 120以下 |
| A-240 | 240以下 |
出典:JIS C 2504:2000 表3/確認日 2026年8月4日。A系は現在、当図鑑に個別ページを設けていません。
SUY系とA系の違いは不純物の規制です。
| SUY系 | A系 | |
|---|---|---|
| C | 0.030以下 | 0.030以下 |
| Si | 0.20以下 | 0.10以下 |
| Mn | 0.50以下 | 0.03以上0.20以下 |
| P | 0.030以下 | 0.015以下 |
| S | 0.030以下 | 0.030以下 |
| Al | — | 0.08以下 |
| Ti | — | 0.10以下 |
A系のほうが不純物規制が厳しく、Mn に下限があり、Al・Ti にも上限が定められています。その結果、保磁力を最小 12 A/m まで下げられます。
出典:JIS C 2504:2000 表2
取扱い上のポイント
磁気特性は熱処理した後の値です。熱処理条件については受渡当事者間の協定によることができます。素材のままの値ではありません。加工歪みは磁気特性を低下させるため、加工後に磁気焼鈍を行うのが一般的です。
また、経時変化については、注文の際に要求された場合 10% を超えてはならないとされています。経時変化とは、100±5℃で100時間後の保磁力の変化率(%)です。
出典:JIS C 2504:2000 6.2・3. c)
JIS C 2503 は現存しません。まえがきに「JIS C 2503:1990(電磁軟鉄棒)及び JIS C 2504:1990(電磁軟鉄板)の二つの規格は統合・改正され、規格名称も電磁軟鉄と修正されて、この規格に置き換えられる」と記されています。2000年に棒と板が JIS C 2504 に一本化されました。
対応国際規格:IEC 60404-8-6 改正案(68/157/CDV):1996 の A(Irons) を基に、対応する部分については翻訳し、技術的内容を変更することなく作成されています。
出典:JIS C 2504:2000 まえがき・序文
当社の対応
当社が自社設備で加工しているのは SS400(一般構造用圧延鋼材)の厚板ガス切断・溶断です。電磁軟鉄 については、協力会社への手配を含めてお見積りを承ります。形状・寸法・数量・熱処理の要否をお知らせいただければ、調達可否とあわせてご回答します。
この規格に共通する事項
この分類の各鋼種ページに共通する規定の解説です。
4種の保磁力の比較
| 種類及び記号 | 保磁力 A/m(上限) |
|---|---|
| SUY-0 | 60以下 |
| SUY-1 | 80以下 |
| SUY-2 | 120以下 |
| SUY-3 | 240以下 |
出典:JIS C 2504:2000 表3/確認日 2026年8月4日。
同規格にはこのほか、より高純度の A系(A-12・A-20・A-60・A-80・A-120・A-240)6種類が規定されています。A系は記号の数字がそのまま保磁力の上限値(A/m)を表し、A-12 は 12 A/m 以下と SUY-0(60 A/m以下)の1/5です。A系は Si 0.10%以下・P 0.015%以下・Al 0.08%以下・Ti 0.10%以下と、SUY系より不純物規制が厳しく、Mn には下限(0.03%以上)があります。
出典:JIS C 2504:2000 表2・表3
JIS C 2503 は現存しません。同規格のまえがきには「JIS C 2503:1990(電磁軟鉄棒)及び JIS C 2504:1990(電磁軟鉄板)の二つの規格は統合・改正され、規格名称も電磁軟鉄と修正されて、この規格に置き換えられる」と記されています。2000年に棒と板が JIS C 2504 に一本化されました。
出典:JIS C 2504:2000 まえがき
薄板と厚板の境界
| 薄板 | 幅が600mmを超え、厚さが5mm以下のもの |
|---|---|
| 厚板 | 幅が600mmを超え、厚さが5mmを超えるもの |
| 条 | 幅が600mm以下で、かつ厚さが5mm以下のもの |
出典:JIS C 2504:2000 3. g)・3. h)
