溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材
溶接構造用鋼/JIS G 3114:2022/14鋼種を収録
Cu・Cr・Ni等を微量添加し、表面に緻密な保護性錆(安定錆)を形成して腐食の進行を抑える鋼材。末尾Wは通常、塗装しないかさび安定化処理を行って使用し、末尾Pは通常、塗装して使用します(JIS G 3114:2022 表1注記/確認日:2026年8月14日)。
加工・取扱いのポイント
この項目はJIS規格値ではありません。一般的な傾向、およびメーカー資料・当社の加工/調達経験にもとづく実務情報です。入手性・加工条件は時期・メーカー・数量によって異なります。
安定錆の形成まで数年は錆汁が出るため、下部の汚染対策が必要。コルテン鋼はこの系統の商品名。
溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材の鋼種一覧
| 鋼種 | 規格・成分の目安 参考 | 特徴 参考 |
|---|---|---|
| SMA400AP | 引張400〜510・塗装用 | 塗装併用タイプ |
| SMA400AW | 引張400〜510・無塗装用 | 耐候性鋼の基本・裸使用 |
| SMA400BP | 引張400〜510・衝撃保証・塗装 | |
| SMA400BW | 引張400〜510・衝撃保証・無塗装 | |
| SMA400CP | 引張400〜510・高靭性・塗装 | |
| SMA400CW | 引張400〜510・高靭性・無塗装 | |
| SMA490AP | 引張490〜610・塗装用 | |
| SMA490AW | 引張490〜610・無塗装用 | 無塗装橋梁の主力 |
| SMA490BP | 引張490〜610・衝撃保証・塗装 | |
| SMA490BW | 引張490〜610・衝撃保証・無塗装 | |
| SMA490CP | 引張490〜610・高靭性・塗装 | |
| SMA490CW | 引張490〜610・高靭性・無塗装 | |
| SMA570P | 引張570〜720・塗装用 | |
| SMA570W | 引張570〜720・無塗装用 | 高強度耐候性鋼 |
この規格に共通する事項
この分類の各鋼種ページに共通する規定の解説です。
末尾の W と P は「塗装するかどうか」です
表1の注記に、はっきり書かれています。
| W | 通常、塗装しないか又はさび安定化処理を行って使用する |
|---|---|
| P | 通常、塗装して使用する |
この違いは化学成分に出ています。W にはニッケルの規定(0.05〜0.30 %)があり、P にはありません。銅もクロムも W のほうが高く設定されています。
| W | Cu 0.30〜0.50/Cr 0.45〜0.75/Ni 0.05〜0.30 |
|---|---|
| P | Cu 0.20〜0.35/Cr 0.30〜0.55/Ni 規定なし |
裸で使う W のほうが、さびを安定させる元素を多く入れる設計になっています。
出典:JIS G 3114:2022 表1 注記・表2/確認日 2026年8月5日。
A・B・C はシャルピーの区分です
表8(シャルピー吸収エネルギー)は厚さ12 mmを超える鋼材が対象で、次のように規定されています。
| 種類の記号 | 試験温度 ℃ | シャルピー吸収エネルギー J |
|---|---|---|
| SMA400AW・SMA400AP | 規定なし | 規定なし |
| SMA400BW・SMA400BP | 0 | 27以上 |
| SMA400CW・SMA400CP | 0 | 47以上 |
| SMA490AW・SMA490AP | 規定なし | 規定なし |
| SMA490BW・SMA490BP | 0 | 27以上 |
| SMA490CW・SMA490CP | 0 | 47以上 |
| SMA570W・SMA570P | −5 | 47以上 |
A種にはシャルピーの規定がありません。B種が0 ℃・27 J以上、C種が0 ℃・47 J以上。SMA570 だけ試験温度が −5 ℃と低く設定されています。
Vノッチ試験片・圧延方向で、3個の試験片の平均値をJIS G 0404の9.6により判定します。
注a)「受渡当事者間の協定によって、これらの試験温度より低い温度で試験を行う場合は、その試験温度に置き換えてもよい」。「注文者は、この表の規定値以上のシャルピー吸収エネルギー値を指定してもよい」。
出典:JIS G 3114:2022 8.2・表8/確認日 2026年8月5日。
適用厚さは A・B が200 mm、C が100 mm
表1の適用厚さです。
| A種・B種 | 鋼板、鋼帯、形鋼及び平鋼/200 mm以下 |
|---|---|
| C種 | 鋼板、鋼帯及び形鋼/100 mm以下 |
| SMA570W・SMA570P | 鋼板、鋼帯及び形鋼/100 mm以下 |
C種と570には平鋼の設定がありません。当社の厚板ガス切断で扱う板厚帯とは、広く重なります。
出典:JIS G 3114:2022 表1/確認日 2026年8月5日。
熱処理の記号を末尾に付けます
6.2「鋼材に熱処理を行った場合、熱処理を示す記号は、次による。なお、熱処理の記号を付記する場合は、表1の種類の記号の末尾に付記する」。
| N | 協定によって、鋼材に焼ならしを行う場合 |
|---|---|
| T | 協定によって、鋼材に焼戻しを行う場合 |
| Q | 鋼材に焼入焼戻しを行う場合 |
| TMC | 協定によって、鋼材に熱加工制御を行う場合 |
規格が挙げている例は SMA400BWN、SMA570WTMC です。ミルシートで記号の末尾に N や TMC が付いていたら、それは熱処理の記号です。
出典:JIS G 3114:2022 6.2/確認日 2026年8月5日。
規格の基本情報
JIS G 3114:2022(溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)。最新改正2022年3月22日。
溶接性の評価指標は炭素当量によります。SMA570W・SMA570P の炭素当量は焼入焼戻しの鋼材に適用され、表3に規定されています。受渡当事者間の協定によって、炭素当量に代えて溶接割れ感受性組成によってもよい、とされています。
出典:JIS G 3114:2022 7.1・7.2・JISC規格詳細画面/確認日 2026年8月5日。
