高速度工具鋼鋼材
工具鋼/JIS G 4403:2025/個別ページ14件(現行JIS収載13鋼種+現行JISに規定なし1件)
原典確認済み 規格番号・鋼種一覧は、日本産業標準調査会(JISC)の規格票閲覧サービスで原典を確認しています(確認日:2026年8月5日/13鋼種の規格値とSKH52の扱いを2026年8月14日に確定)。個別の鋼種ページには、原典で確認した規格値を掲載しています。
高温でも硬さが落ちにくいことを狙って、タングステン・モリブデン・バナジウム・コバルトを多量に加えた工具鋼です。切削工具に多く使われます。
押さえておきたい点
当社が JIS G 4403:2025 表2 の13鋼種は、モリブデンの規定があるかどうかで二分されます。W系=SKH2・SKH3・SKH4・SKH10(Mo の規定なし)、Mo系=SKH40・SKH51・SKH53〜SKH59(Mo 3.20〜10.00%)。また13鋼種すべてで Mn 0.40以下・P/S 0.030以下・Cu 0.25以下 が共通です(Si は0.45以下、ただし SKH58・SKH59 は0.70以下。Cr は3.80〜4.50、ただし SKH58・SKH59 は3.50〜4.50)。鋼種を分けているのは主に C・W・Mo・V・Co です。SKH56〜SKH59 も原典(表2・表3)で確認のうえ規格値を掲載しています。SKH52 は現行の JIS G 4403:2025(箇条4:鋼材は13種類)には規定されていません(確認日:2026年8月14日)。旧規格での収載・廃止の経緯は未確認です。
工具鋼の「硬さ」は焼なまし硬さです
機械構造用鋼(G 4051・G 4053)には機械的性質の規定がありませんが、工具鋼の規格(G 4401・G 4403・G 4404)はいずれも箇条7に「硬さ」を持っています。ただし規定されているのは焼なましを行った鋼材の硬さです。
JIS G 4403:2025 の箇条7は「鋼材は、11.2の試験を行い、硬さは、表3による」と規定し、表3に示されているのは焼なまし温度(参考)と焼なまし硬さ(HBW)です。焼入焼戻し後の硬さ(HRC◯◯)は規格値ではありません。G 4401・G 4403・G 4404 のいずれも箇条7に焼なまし硬さの規定があることは、それぞれの原典で確認しています。
出典:JIS G 4403:2025 箇条7・表3(G 4401 箇条7・G 4404 箇条7.1もあわせて確認)/確認日 2026年8月14日
高速度工具鋼鋼材 の鋼種一覧
| 鋼種 | 分類・規格 | 特徴 |
|---|---|---|
| SKH2 | JIS G 4403:2025 表2(W系) | C 0.73〜0.83/W 17.20〜18.70/Mo -/V 1.00〜1.20/Co - |
| SKH3 | JIS G 4403:2025 表2(W系) | C 0.73〜0.83/W 17.00〜19.00/Mo -/V 0.80〜1.20/Co 4.50〜5.50 |
| SKH4 | JIS G 4403:2025 表2(W系) | C 0.73〜0.83/W 17.00〜19.00/Mo -/V 1.00〜1.50/Co 9.00〜11.00 |
| SKH10 | JIS G 4403:2025 表2(W系) | C 1.45〜1.60/W 11.50〜13.50/Mo -/V 4.20〜5.20/Co 4.20〜5.20 |
| SKH40 | JIS G 4403:2025 表2(Mo系) | C 1.23〜1.33/W 5.70〜6.70/Mo 4.70〜5.30/V 2.70〜3.20/Co 8.00〜8.80 |
| SKH51 | JIS G 4403:2025 表2(Mo系) | C 0.80〜0.88/W 5.90〜6.70/Mo 4.70〜5.20/V 1.70〜2.10/Co - |
| SKH52 | JIS G 4403:2025 | 現行JISに規定なし(箇条4の13種類に含まれず/確認日 2026年8月14日) |
| SKH53 | JIS G 4403:2025 表2(Mo系) | C 1.15〜1.25/W 5.90〜6.70/Mo 4.70〜5.20/V 2.70〜3.20/Co - |
| SKH54 | JIS G 4403:2025 表2(Mo系) | C 1.25〜1.40/W 5.20〜6.00/Mo 4.20〜5.00/V 3.70〜4.20/Co - |
| SKH55 | JIS G 4403:2025 表2(Mo系) | C 0.87〜0.95/W 5.90〜6.70/Mo 4.70〜5.20/V 1.70〜2.10/Co 4.50〜5.00 |
| SKH56 | JIS G 4403:2025 表2 | Mo系・Co 7.00〜9.00/比較的じん性を必要とする高速重切削用(表1 用途例) |
| SKH57 | JIS G 4403:2025 表2 | Mo系・W 9.00〜10.00・Co 9.50〜10.50/高難削材切削用(表1 用途例) |
| SKH58 | JIS G 4403:2025 表2 | Mo系・Mo 8.20〜9.20/じん性を必要とする一般切削用(表1 用途例) |
| SKH59 | JIS G 4403:2025 表2 | Mo系・Mo 9.00〜10.00・Co 7.50〜8.50/比較的じん性を必要とする高速重切削用(表1 用途例) |
この規格に共通する事項
この分類の各鋼種ページに共通する規定の解説です。
JIS G 4403:2025 の収載は13鋼種です
表2で規定されている種類の記号は次の13です。
SKH2・SKH3・SKH4・SKH10・SKH40・SKH51・SKH53・SKH54・SKH55・SKH56・SKH57・SKH58・SKH59
W系(Mo の規定なし)=SKH2・SKH3・SKH4・SKH10、Mo系=SKH40・SKH51・SKH53〜SKH59。タングステンは高価で比重も大きいため、一部をモリブデンに置き換えたのがMo系です。
出典:JIS G 4403:2025 表2/確認日 2026年8月5日
