合金工具鋼鋼材(SKS)
工具鋼/JIS G 4404:2025/16鋼種を収録
一部確認済み 規格番号・鋼種一覧は、日本産業標準調査会(JISC)の規格票閲覧サービスで原典を確認しています(確認日:2026年8月5日)。個別の鋼種ページには、原典で確認した規格値を掲載しています。
JIS G 4404(合金工具鋼鋼材)のうち SKS で始まる記号をまとめたページです。規格上は SKS という単一の分類は存在せず、用途区分ごとに性格が異なります。
押さえておきたい点
この鋼材図鑑は SKS を1カテゴリにまとめていますが、規格の表1では SKS の中に3つの用途区分が混在しています。「SKSはこういう鋼です」という一括りの説明は規格に照らすと成立しません。なお SKS81(主として切削工具鋼用/替刃・刃物・ハクソーなど/C 1.10〜1.30)は規格に規定されていますが、この鋼材図鑑にはまだページがありません。順次追加します。
SKS・SKD・SKT は同じ規格です
SKS・SKD・SKT は、いずれも JIS G 4404(合金工具鋼鋼材)に規定された記号です。別々の規格ではありません。規格の表1では、記号ではなく「用途区分」で4つに分類されています。
| 主として切削工具鋼用 | SKS2・SKS7・SKS81・SKS8 |
|---|---|
| 主として耐衝撃工具鋼用 | SKS5・SKS51 |
| 主として冷間金型用 | SKS3・SKS31・SKS93・SKS95・SKD1・SKD10・SKD11・SKD12 |
| 主として熱間金型用 | SKD4・SKD61・SKD62・SKD7・SKD8・SKT4 |
SKS は1つの分類ではありません。SKS2・SKS7・SKS81・SKS8 は切削工具鋼用、SKS5・SKS51 は耐衝撃工具鋼用、SKS3・SKS31・SKS93・SKS95 は冷間金型用で、規格上は3つの用途区分にまたがっています。
出典:JIS G 4404:2025 表1/確認日 2026年8月3日。記号は当社が原典で確認できた20鋼種のみを掲載しています。
工具鋼の「硬さ」は焼なまし硬さです
機械構造用鋼(G 4051・G 4053)には機械的性質の規定がありませんが、工具鋼の規格(G 4401・G 4403・G 4404)はいずれも箇条7に「硬さ」を持っています。ただし規定されているのは焼なましを行った鋼材の硬さです。
JIS G 4404:2025 の 7.1 b)「注文者の指定によって焼なまし以外の熱処理を行った鋼材の硬さは、受渡当事者間の協定による」。つまり焼入焼戻し後の硬さ(HRC◯◯)は規格値ではありません。
出典:JIS G 4404:2025 箇条7.1/確認日 2026年8月3日
合金工具鋼鋼材(SKS) の鋼種一覧
| 鋼種 | 分類・規格 | 特徴 |
|---|---|---|
| SKS2 | JIS G 4404:2025 表2 主として切削工具鋼用 | C 1.00〜1.10/Cr 0.50〜1.00/用途例:バイト・冷間引抜ダイス・センタドリルなど |
| SKS3 | JIS G 4404:2025 表3 主として冷間金型用 | C 0.90〜1.00/Cr 0.50〜1.00/用途例:ゲージ・シャー刃・プレス型・ねじ切ダイスなど |
| SKS4 | JIS G 4404:2025 | 規格値 未掲載(表1〜表4で確認できず/廃止かどうかは未確認) |
| SKS5 | JIS G 4404:2025 表2 主として耐衝撃工具鋼用 | C 0.75〜0.85/Cr 0.20〜0.50/用途例:丸のこ・帯のこなど |
| SKS7 | JIS G 4404:2025 表2 主として切削工具鋼用 | C 1.10〜1.20/Cr 0.20〜0.50/用途例:帯のこ・金切のこなど |
| SKS8 | JIS G 4404:2025 表2 主として切削工具鋼用 | C 1.30〜1.50/Cr 0.20〜0.50/用途例:刃やすり・組やすりなど |
| SKS11 | JIS G 4404:2025 | 規格値 未掲載(表1〜表4で確認できず/廃止かどうかは未確認) |
| SKS21 | JIS G 4404:2025 | 規格値 未掲載(表1〜表4で確認できず/廃止かどうかは未確認) |
| SKS31 | JIS G 4404:2025 表3 主として冷間金型用 | C 0.95〜1.05/Cr 0.80〜1.20/用途例:ゲージ・プレス型・ねじ切ダイスなど |
| SKS41 | JIS G 4404:2025 | 規格値 未掲載(表1〜表4で確認できず/廃止かどうかは未確認) |
| SKS43 | JIS G 4404:2025 | 規格値 未掲載(表1〜表4で確認できず/廃止かどうかは未確認) |
| SKS44 | JIS G 4404:2025 | 規格値 未掲載(表1〜表4で確認できず/廃止かどうかは未確認) |
| SKS51 | JIS G 4404:2025 表2 主として耐衝撃工具鋼用 | C 0.75〜0.85/Cr 0.20〜0.50/用途例:丸のこ・帯のこなど |
| SKS93 | JIS G 4404:2025 表3 主として冷間金型用 | C 1.00〜1.10/Cr 0.20〜0.60/用途例:シャー刃・ゲージ・プレス型など |
| SKS94 | JIS G 4404:2025 | 規格値 未掲載(表1〜表4で確認できず/廃止かどうかは未確認) |
| SKS95 | JIS G 4404:2025 表3 主として冷間金型用 | C 0.80〜0.90/Cr 0.20〜0.60/用途例:シャー刃・ゲージ・プレス型など |
この規格に共通する事項
この分類の各鋼種ページに共通する規定の解説です。
合金工具鋼は「用途区分」で3つに分かれます
JIS G 4404:2025 の表1には、種類の記号とあわせて用途例が規格として書かれています。用途の説明を推測ではなく規格の記述として書ける、数少ない規格です。
| 主として切削工具鋼用 | SKS2・SKS5・SKS51・SKS7・SKS81・SKS8 |
|---|---|
| 主として冷間金型用 | SKS3・SKS31・SKS93・SKS95・SKD1・SKD10・SKD11・SKD12 |
| 主として熱間金型用 | SKD4・SKD61・SKD62・SKD7・SKD8・SKT4 |
用途区分は3つです。化学成分表も表2(切削工具鋼用)・表3(冷間金型用)・表4(熱間金型用)の3つに分かれています。
出典:JIS G 4404:2025 表1・表2・表3・表4/確認日 2026年8月5日
【注意】SKS は1つの分類ではありません
この鋼材図鑑では SKS を1つのカテゴリにまとめていますが、規格上は SKS の中に2つの用途区分が混在しています。
| 主として切削工具鋼用 | SKS2・SKS5・SKS51・SKS7・SKS81・SKS8 |
|---|---|
| 主として冷間金型用 | SKS3・SKS31・SKS93・SKS95 |
「SKSはこういう鋼です」という一括りの説明は、規格に照らすと成立しません。SKS5 は刃物用、SKS3 は金型用で、用途区分そのものが違います。
出典:JIS G 4404:2025 表1/確認日 2026年8月5日
SKD11 と SKD61 の違いは規格上の区分です
よく比較される2鋼種ですが、違いは通説ではなく表1の用途区分そのものです。
| SKD11 | 主として冷間金型用/C 1.40〜1.60・Cr 11.00〜13.00/焼なまし硬さ 255 HBW以下 |
|---|---|
| SKD61 | 主として熱間金型用/C 0.35〜0.42・Cr 4.80〜5.50/焼なまし硬さ 229 HBW以下 |
炭素もクロムも大きく違います。冷間金型用は炭素とクロムを高くして硬さと耐摩耗性を、熱間金型用は炭素を落として割れにくさを取る、という設計の差が成分表に出ています。
出典:JIS G 4404:2025 表1・表3・表4・表5/確認日 2026年8月5日
熱間金型用は硫黄の上限が厳しい
表3(冷間金型用)と表4(熱間金型用)を並べると、硫黄の上限だけが違います。
| 表2・表3の鋼種 | S 0.030 %以下 |
|---|---|
| 表4の鋼種(熱間金型用) | S 0.020 %以下 |
りんはどちらも 0.030 %以下で共通です。硫黄だけを絞っているのは、熱間で繰り返し使われる金型で割れの起点を減らす狙いと読めます。
表2・表3・表4の本文には「この表に“-”と記載している元素及びこの表に記載していない合金元素は、溶鋼を仕上げる目的以外に、意図的に添加してはならない」と規定されています。
出典:JIS G 4404:2025 表2・表3・表4/確認日 2026年8月5日
製造方法にも規定があります
箇条5「a) 鋼材は、キルド鋼から製造する。b) 鋼材は、鍛錬成形比 4S 以上の熱間圧延又は熱間鍛造で製造する」。
鋼材寸法の関係から 4S 未満となる場合は、JIS G 0701 の 3.2(すえ込鍛錬)によってすえ込鍛錬と実体鍛錬を合併し、その比で鍛錬成形比を求めて 4S 以上としてもよい、と規定されています。
d)「鋼板及び鋼帯以外の鋼材は、熱間圧延又は熱間鍛造後に焼なましを行う」。e)「鋼板及び鋼帯は、特に指定のない限り、熱間圧延のままとする」。
出典:JIS G 4404:2025 箇条5/確認日 2026年8月5日
